第20章 緋色の夢 〔Ⅴ〕
ジュダルの手札が広げられる。
カードを広げた彼の手の隙間から、描かれた三つの同じ絵柄が見えて、ハイリアは口元が自然とつり上がるのを感じた。
しかし、笑っているのはジュダルも同じだった。
勝ち誇った笑みを浮かべるジュダルの手元がずれて、もう一つ同じ絵柄が見えて、ハイリアは目を見開いた。
描かれていた絵柄はキング。四枚のKの配列に、一気に表情が硬くなる。
―― うそ!? フォーカード!?
信じられない手札に頭が混乱した。
「おしかったなぁ、ハイリア。おまえの負けだ! 約束通り、今夜は一晩きっちりつき合ってもらうからな! 」
突きつけられたとんでもない現実に、ハイリアは青ざめて固まった。