• テキストサイズ

【マギ*】 暁の月桂

第20章 緋色の夢 〔Ⅴ〕


「カードを配当する親は、どっちがやるの? 」

「おまえがやれ。俺がやって魔法がどうだとか、いちゃもんつけられても困るからな」

楽しそうな笑みを浮かべて、ジュダルが言った。

「ほら、さっさと始めろ! どんな勝敗でも文句を言うんじゃねーぞ? 」

「わかってるわよ! ジュダルこそ負けて、不満言わないでよね! 」

ハイリアは、トランプの束をゆっくりと切り始めた。

手にしているカードの束を切り始めると、なんだか緊張してきた。

ポーカーは運に左右されるゲームだ。今回はとんでもない賭けをするというのに、たった一回の勝負で決まると思うと、恐怖さえ感じる。

表情を固めたハイリアをみて、ジュダルがくつくつと笑った。

「なんだ? 急に恐くなったか? 」

「うるさいわねぇ! こんなゲーム、恐くない方がどうかしてるわよ! 」

「そう恐がるなよ、ハイリア。ちょっとした運試しだ。気楽にいこうぜ! 勝てば一つだけ命令できるなんておもしれぇーだろ? おまえは、俺にやらせてみてぇ事が一つもねーのかよ? 」

ジュダルの言葉に、ハイリアの瞳が揺らいだ。

「ほらな、あるんだろ? ゲームに勝ちさえすれば、おまえが考えていることを俺にさせられるわけだ。こんなチャンス滅多にないと思うぜー! 」

楽しげな光を瞳に宿して、ジュダルはにんまりと笑った。

確かにチャンスなのかもしれない。けれど、こんなゲームの勝敗で決めてしまっていいことなのか迷いもあった。

勝者はどんな命令でも一つ出来る。敗者はその命令に従わなければいけない。ならば、どんな質問がきても、敗者は答えなければいけないはずだ。

胸の奥にうずまって聞けずにいる疑念が頭をよぎって、心を惑わせていた。

「……勝ったら、私がジュダルに一つ命令できるのよね? 」

「そうだな。俺が勝てば、おまえに一つ命令できるわけだからなー」

にやにやと意味深な笑みを浮かべるジュダルをみていると、嫌な想像しか浮かんでこなくて身震いした。
/ 677ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp