第6章 記憶➀
「いやぁぁぁぁぁ!!!!」
怖くって目を瞑る。
カッターの刃先が私の足に触れた。
そう、触れただけであった。
恐る恐る目を開いてみると、そこには幼馴染の2人がいた。1人は部長の手を捻り上げ、もう1人はムービーを撮っていた。
カラ「本当に愛しているなら、相手の嫌がることはしないはずだ。」
トド「ほのかちゃんに手を出すなんて有罪〜!
この写真、LINEで流しちゃおっかなぁ。
ねぇ、野球部の暴力先輩。
先輩はいつもそうやって女の子を自分のものにするらしいけど、それも今日でおしまいだね。」
「ひっ!!!覚えてろよ!」
部長はカラ松くんの手を振りほどき、逃げていった。
カラ松「大丈夫か?ほのか。あぁ、血が出ているな。全く…ほのかに傷をつけるなんて、とんだギルティガイだな。」
トド「いったぁーい!カラ松さん!いちゃもんつけてないで、はやく治療してあげなくっちゃ!」
そういうとトド松くんはピンクのケースを取り出して私に消毒をしてくれた。
「ありがとう。すっごく怖かったぁぁぁ〜。」
トド「立てる?」
「あ…え、えへへ〜、ちょっと待って、腰が抜けちゃって。」
カラ「……!!!そうか。大丈夫だぞほのか。
ほら、トド松、せーのだ!」
トド松「あぁ、はいはい。よーし、ほのかちゃん!
僕らの手をしっかり握ってね〜!」
「う、うん。」
戸惑いながら返事をすると2人はせーのと言って私を立たせた。
2人の手からは優しさが伝わってきた。