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私立ウィスタリア学院~新米教師とイケメン教師たち

第10章 事の発端①


「…そ、そんなことないよ…。
何でそんなこと言うの?」

「だってこの間さ…
アヤセが用事あって
珍しくバイト入らなかった日
あったでしょ?

そのとき、あの人店に入るなり
あんたのこと聞いてきて、
休みのこと伝えたら

そのまま何も頼まず
帰っちゃったのよ!」

「うそ…」

「嘘じゃないわよ。
もーそのとき入ってた
バイトみんなが

『あぁこの人クロだ…』

って思ってたと思うよ。」

そういってバイト仲間は笑った。

「たぶんだけどさ、
アヤセがクローズのときって
あの人最後までいるんでしょ?」

「いるけど……えっ…まさか…!!」

「そうよ、私がクローズで
アヤセが早上がりのときは
あんたが帰ると早々に
あの人も帰っちゃうんだから。」

アヤセの顔が少し赤くなる。

「まぁでも参考書チラ見した感じ、
医学部っぽいわよ。
早く捕まえておいた方がいいかもね。」

とそのバイト仲間はニヤッと笑った。

「じゃあお先!」

「う、うん!またね!」

(ほんとなのかな…)

アヤセの顔がカァァとさらに赤くなる。


気になっていなかった…
と言ったら嘘になる…。

ただ相手は大学生で、自分は高校生。

こんなお子ちゃま本気にされるわけない…

ずっとそう思って本当の気持ちに
フタをして、
この軽妙なやりとりをする関係が続くよう、
アヤセは努力してきたのだ。


しかしそのことを聞いて以来、
アヤセはシドと会うたび
そのことを意識してしまい、
軽快なやりとりができなくなっていた。


そんなある日…

「おい、お前なんか悩みでもあんのか?」

来て早々カウンター越しに
最近様子のおかしいアヤセに
シドは問いかける。

「えっ、べ、別に…。」

「あっそ…
ちゃんと食べれて寝れてるか?」

「え、う、うん…」

アヤセは嘘をついた。
シドを意識して以来、
食欲は落ちて、
なかなか寝付けなくなっていた。

「いつでも大学生の優しい
オニーサンが相談にのってやるからよ、
気が向いたら何でも言えよ。」
とシドは片方の口角をあげて
笑った。

「…う、うん。ありがと…」
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