第7章 生物の先生
廊下には少しおぼつかない足取りで歩く
アヤセの姿があった。
ジルによってそこをとろかされたせいで
下半身に力が入りづらい…
その心境はジルの、
担当教官としての暖かな気持ちに
触れた嬉しさと、
異性としての下心に
触れた恥ずかしさで、
複雑だった。
そして何よりも体が熱くて仕方なかった…。
そんなときだった。
「アヤセちゃん!?」
その呼ばれかたに少し身構えながら
声のした方に顔を向けると、
そこには想像していた人ではなく、
懐かしい顔が目に飛び込んできた。
「ロベールさん!?」
アヤセは一気に
嬉しい気持ちが溢れてきて、
パッと駆け寄ってその人に抱きついた。
「うわっ!
アヤセちゃん!?」
ロベールと呼ばれたその人物は
ジルよりもやや年上の、
落ち着いた雰囲気をまとった男性だった。
「ロベールさん!
なんでここにいるんですか!?」
ロベールは
アヤセの体を離しながら話す。
「僕はここで生物科の教師を
しているんだよ。
もうだいぶ長いかな。」
「そうだったんですか…
全然知らなかったです。」
「そうだよね。
アヤセちゃんの家庭教師を
辞めて以来会うことはなかったもんね。
にしてもアヤセちゃん、
素敵なレディになったね。」
ロベールがニッコリと微笑む。
「え、そ、そうですか…?」
恥ずかしくて
アヤセは顔を赤くする。
「うん、だって家庭教師を
していたのは君が中学生の頃だしね。
抱きつかれたとき
少しドキッとしてしまったよ。」
「…あ、す、すいません…」
「今日1日どうだった?」
「えっえっと、
いろいろあったけど、
皆さん歓迎してくれて、
がんばろうと思いました…。」
“いろいろ”に含みを持たせてる自分がいて、
アヤセは少し恥ずかしくなる。
「あ…もしかしてもう
いろいろされてしまった?」
「えっ!
わ、わかるんですか…?」
「まぁこの学校の
通過儀礼みたいなものだからね。」
とロベールは苦笑する。
「そうなんですね…
ちょっと参ってしまって…」
アヤセも苦笑する。