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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第43章 長い夜/S様へ


「…じゃあ、私からもいい?」
水を飲んで一息つく。
さっきまでうるさかった心臓はやっと落ち着いてくれた。

「今の病院辞めたじゃない。それで、ちょうど学生時代に留学してた大学から講師の誘いが来ててね。もうこの際だからアメリカで働こうかと思って。」
ジンの目が訝しそうに細められる。
「こっちでやることがまだ残ってるから、すぐには無理なんだけどさ。だから…アメリカの方がジンも今より周りを気にしないで生活できるんじゃないかなって。」
さっきの仕返し、とばかりに意味深な言い回しをしてみる。

しかし残念ながらジンの方が一枚上手だったようで。
「ほお?つまりそいつはどういう意味だ?」
再びニヤリと目を細めたジンは、新たな煙草に火を点けた。
これはきっと私が折れない限り堂々巡りだ。
額に手を当てて天井を仰ぐ。

「あーーーもう、一緒にアメリカに行かないかって言ってるの!一生面倒見てくれるんでしょ!?」
勢いよく言ってはみたものの、隣に座るジンは変わらず笑みを浮かべたまま。
「今より給料も上がるらしいし、別にジン1人くらい養えないこともないから…ほら、ほとぼりが冷めるまで姿をくらましておくって言ってたじゃない、だからどうかなって、思ったんだけど…嫌なら、別に…。」
大きく煙を吐き出した後も口を開こうとしない彼に、俯きながらもごもごと言い訳がましく言葉を紡ぐ。

これで反応が返ってこなかったらもう無かったことにしよう、そう思った時だった。
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