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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第43章 長い夜/S様へ


「…責任は取る。」
「へ?」
まるでプロポーズのような物言いに、変な声が出てしまった。
まっすぐジンに見据えられてだんだんと自分の顔が赤くなるのが分かる。

「当面の生活は保障してやるから金の心配はいらねぇ。」
「!」
揶揄われた、と気付いた時には既に遅く。
目の前のジンの口角がぐっと上がった。
「どうした、顔が赤いぜ。」
くつくつと喉の奥の笑いを噛み殺しながら頬を撫でられてさらに顔が熱くなる。
ふざけないでよ、誰のせいでこんな目に、調子に乗らないでよ。
言いたいことはぐっと飲み込んで、握った右手をジンに向かって突き出した。
しかしそれは難なくジンの左手に収まって、そのままぐいと引き寄せられる。

「う、わ、」
「色気のねぇ声だな。」
腕を引っ張られたせいで体勢を崩してしまい、ジンの胸に顔をうずめる形になる。
「なら、お前のこれからの人生、最後まで責任取ってやろうか?」
そのまま耳元で囁かれて背筋に電流が走った。
きっとこれも冗談だ、私の反応を見て楽しんでいるだけなのだと頭では分かっているが体が動かない。

「で?返事はどうなんだ?」
黙り込んだ私の様子を窺うように、頭上から声が降ってくる。
「そ、んなの…すぐ返事できるわけないじゃない。」
「ホォー、考える余地があるとは驚いたな。」
「…っ!そういう意味じゃない!」
バッと顔を上げると至極楽しそうな笑みを浮かべたジンと目が合って、言葉にならない悔しさがこみ上げた。
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