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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第35章 誘拐未遂事件/安室


「申し訳ありませんお嬢、実は…」
「どうも、山門さくらです。初めまして…ではないんですよね?」
男の声を遮って、さくらさんは口を開いた。

『………。』
「私に何の用事でしょう?ここまでされるような心当たりが全く無いのですが。」
電話の声は沈黙したまま。
徐々に電話を持つ男も不審そうな顔になる。
「…お嬢?どうかなさいましたか?」
『桐山、違うわ。私が話があるのはこの人じゃ無い。』
「「え?」」
男とさくらさんの声が被る。
『私が連れて来いって言ったのはこの人じゃないって言ったの。用事があるのはマンションのD棟の、』
「お嬢、D棟ですか?ドッグのDの?」
『だからそうだって言ってるじゃない。』
「…私の部屋はB棟ですが。ブックのB。」
『桐山?どういうこと?』

明らかに男は慌て始めた。
つまりはさくらさんは人違いで攫われそうになったということか。

「じゃあ私に用はなかったって事でよろしいですか?」
さくらさんは手に持った拳銃を男に投げた。緩く放物線を描いてそれは男の手に収まる。
『ええ、うちの人達が迷惑かけたみたいでごめんなさいね。』
「いえ、私もちょっとやりすぎたので。目を覚ましたら皆さんに謝っておいてください。」
それでは、と踵を返したさくらさんの背に男がぽつりと呟いたのを僕は聞き逃さなかった。

「医者の先生でかつあれほどの腕とは…うちに欲しい人材ですね。」
『やめなさいよ桐山、堅気の人に迷惑かけないで。そんなことより早く帰ってらっしゃい。』
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