第34章 関西弁の少年/服部
「ご馳走様、蘭ちゃん。今度はうちにもご飯食べに来て。」
「ありがとうございます!」
電気の消えたポアロの前。
階段の下まで見送りに出てくれた3人に手を振ると、じゃあ、とコナンくんが私の横に並んだ。
「僕と平次兄ちゃんで送ってくるよ。もう夜も遅いしさ。」
近いから大丈夫だよ、服部くんも足痛むでしょ、そう言ってはみたものの彼らに引く気配はない。
ええやんけ、と服部くんに腕を掴まれる。
「蘭姉ちゃん、先寝てていいからね!」
コナンくんはそう言って私の背中を押すと夜の街に押し出した。
「で?説明してもらおか、なんでこの姉ちゃんお前が工藤やって知っとるんや?」
信号を1つ渡って、蘭ちゃんが階段を昇っていったのを確認してから服部くんは口を開いた。
そういえば、と今日の出来事を思い返す。
コナンくんは服部くんの前では工藤新一として振舞っていた。
つまり服部くんもコナンくん=工藤くんだと知っているということになる。
「ああ、さくらさんは黒の組織の一員であの薬の解毒薬について研究してるよ。」
「はーなるほどな、せやから工藤のことも知っとるんや…って!この姉ちゃんが組織のメンバー!?そんな奴と仲良しこよししとんのか!?」
「しゃーねーだろ?解毒薬を手に入れるにはこれが1番手っ取り早そうなんだからよ。」
どないなっとんねん…と服部くんは額を押さえた。
「つまり俺は工藤の敵に課題を教えてもろてたわけか?」
「ああ、そうなるな。」
「知らんかったこととはいえすまんかった、工藤!」
完全に私は蚊帳の外だ…とぼんやり考えていたその時。
パチン、と服部くんが顔の前で両手を合わせた音に我に返った。