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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第34章 関西弁の少年/服部


「もーお父さん!さっきまでヨーコちゃんのステージ楽しんでたじゃない!」
「それはそれだ!…ったく。」
蘭の非難する声も聞き流し、おっちゃんは手に持った紙コップを握り潰すと席を立った。

「お父さん?どこ行くの?」
「トイレだよ!」
服部くんの試合始まるよ、と言う蘭に階段を登り始めたおっちゃんは振り返りもせずそう言った。

「もう、お父さんてば。」
蘭が溜息を吐いて腰を下ろしたところで、はじめ、と号令がかかる。
見るとちょうど服部の試合が始まったところだった。
慌てて立ち上がった蘭につられて、俺も腰を浮かせた。



合図とともに両者は僅かずつ移動しながら機会を伺う。
先に仕掛けたのは服部だった。
掛け声とともに狙ったのは面。しかしそれは軽々と避けられる。
避けた相手はそのまま服部の胴目掛けて竹刀を打ち込むが服部は一歩引いて事無きを得る。
それから少し鍔迫り合いが続いて服部が一歩足を踏み出した時、彼の身体は畳の床に転がることになった。


突然のことに周りの観客達がざわつく。服部が倒れた時、相手は何もしていなかったからだ。
側から見ていただけでは、服部が何も無いところで突然転んだ様にしか見えない。
しかしすぐに服部は自らその身体を起こすと大したことはない、とでも言うかのように手を大きく振った。
そして審判と少し話をしたかと思うと、旗が上がってその審判の口から相手の勝利が宣言された。
服部は近くにいたスタッフの肩を借りて会場を後にする。
片足を引きずるようなその様子に、慌てて蘭を促すと救護室へ急いだ。
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