第32章 (番外編)初詣
「それで、今日はどうしたの?…あ、お年玉?」
寒いから、と彼らを家の中へ招き入れて人数分のココアをテーブルに並べてあげると、声を揃えてお礼を言ってくれた。
細かいお金あったかな、と財布を探すために鞄に手を入れると、コナンくんから声がかかる。
「違う違う、俺らこれから初詣行くんだけど、さくらさんも一緒に行かない?」
せっかくお年玉くれるって言ってるんだから貰っとこうぜ、と小さく元太くんが呟いて隣に座る光彦くんに叱られている。
その仲の良さについ笑みが零れた。
◻︎
「すごい人ですねぇ。」
昨晩の激しい雨は何処へやら、あちらこちらに水溜りこそあるもののすっきりとした晴天が広がっていた。
そんな素晴らしい青空とは対照的に境内から溢れんばかりの人、人、人。
この辺りでは有名な神社であることは知っていたが、まさか元日の朝はこんなに混雑するなんて。
「あっちで甘酒配ってるってよ、貰ってこようぜ!」
「歩美、去年のお守りお焚き上げしてもらうんだ。」
そんな人混みに臆することなく子供達はてんでバラバラに動き出そうとする。
それをコナンくんと哀ちゃんが必死で引き止めていた。
「おいオメーら、勝手に動くなよ。はぐれたら大変なんだからな。」
「そうよ。みんなで順番に回りましょ。」