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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第30章 医者の不養生/沖矢


沖矢昴は愛車に体を預けながら、さくらのマンションを見上げていた。
マッチを擦って煙草に火を点ける。

「気になるのはあの引き出しだけ、か。」

ふうと紫煙を吐き出した。
沖矢がスーパーで彼女を見かけたのは偶然などではない。
埠頭での出来事以後、時間を見つけては彼女の後をつけていた。
どうにか家の中へ入る口実を探していたところ、ちょうど彼女が風邪を引いたと言う。
これは幸いにと以前レシピサイトで見た卵粥を振る舞ったというわけだ。

さくらが寝入ったあと、キッチンからバスルームに至るまで調べさせてもらったのだが、寝室にあった机の1番上の引き出しにだけ鍵がかかっていて開けられなかったこと以外は特段気になるものはなかった。

鍵はどこかにないかと見回してみたものの目につくようなところには置かれておらず、後ろ髪を引かれつつも彼女が起きる前にと部屋を後にしていた。

あの部屋に頻繁にジンが出入りしていることを考えると盗聴器などを仕掛けておくのは些かリスクが高すぎる。
また次の機会があるか、と沖矢は煙草を空き缶の中へ放るとその場を後にした。




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