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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第30章 医者の不養生/沖矢


「キッチンお借りしますね、どうぞさくらさんは休んでてください。」

ご厚意に甘えて昴さんの車で送ってもらう道中でさらに体調は悪化した。
マンションに着く頃には喋るのもしんどくなってきたくらいで、昴さんに話しかけられても頷くことしかできなかった。

キッチンからふんわりとお出汁のいい香りが漂ってくる。
熱に浮かされた頭で、いつかウォッカが作ってくれた料理は美味しかったなあとぼんやり考えた。




◻︎




「うわぁおいしい…!」
昴さんの作ってくれた卵粥を一口食べると、思わずそう口をついて出た。

「お口にあったようで何よりです。デザートに林檎もすってみたんですが食べられそうですか?」
首を傾げる昴さんに、お粥を咀嚼しながら頷いた。
人に看病してもらうなんていつぶりだろうか。



お腹がいっぱいになると段々と瞼が落ちてくる。
キッチンからはカチャカチャと皿を洗う規則正しい音が聞こえていた。
それが心地よくて、いつの間にか私はソファで眠ってしまっていたらしい。

目を覚ますと体には毛布がかかっていて、昴さんの姿は既になかった。
ゆっくりとソファから立ち上がると、幾分か体は楽になっていた。
ふとテーブルの上にメモが置いてあるのに気が付いた。
手に取ってみる。

”冷蔵庫にスポーツドリンクを冷やしてあります。おかずも何品か作って置いたので、よければ食べてください。
鍵はポストに入れておきます。お大事に。
PS.起きたらきちんとベッドで寝ることをおすすめします。”

昴さんのものであろう綺麗な文字で書かれたそれを再びテーブルに置くと、キッチンへ足を向けた。
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