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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第30章 医者の不養生/沖矢


(医者の不養生)

昨晩から嫌な予感はしていたのだ。
朝起きると喉の痛みに見事な鼻声、さらには寒気ときた。
これは間違いなく風邪だ。

幸いなことに仕事は休み。
薬を飲んでゆっくり寝ることにしよう、と戸棚を開けたところ薬のストックがなくなっていることに気づいた。
ここしばらく体調を崩していなかったからすっかり忘れていた。

仕方ない、確か冷蔵庫の中身もほとんどなかったはずだ。
病院に行ってついでに雑炊の材料でも買ってこよう。
そう思い簡単に身支度を整えて家を後にした。




◻︎




「おや、さくらさん?」
「あ、昴さん。」
病院からの帰り、スーパーに入ったところで後ろから声をかけられた。
振り向いた拍子にゲホッと咳き込んでしまう。
慌ててすみません、と謝った。

「その声…風邪ですか?」
「そうなんです。今病院に行ってきたところで、薬を飲むために何か作って食べないと。風邪ひいても家事しなきゃいけないのは一人暮らしの辛いとこですよね。」
心配そうな顔をした昴さんに気を使わせないようにと、努めて明るく振舞って見たのだがどうやらそれは逆効果だったらしい。

「それなら僕が作りましょうか。この間美味しい卵粥のレシピを教えてもらったところだったので。ああ、もし家にお邪魔しても良ければ、ですが。」
そう言うと彼はカゴを手に取るとスーパーの奥へと進んでいく。
そんな悪いです、と言ったのだが彼の足は緩まない。
慌ててその後を追った。
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