第1章 Sunflower【澤村大地】
「野村先輩っ…!ど、どーしたんですか!?」
ごまかしきれず、私も慌てて顔を伏せる。
「あ、ご、ごめんねっ…!目にゴミが入っただけ…」
「お、俺ティッシュとか持ってないし…清水先輩呼びます?目薬とかいります…!?」
「大丈夫、大丈夫、もう平気だからっ…!」
オロオロしている日向に、私はなんとか笑顔を作り、ポンポンと頭を撫でた。泣きそうになる子供を安心させようとあやすみたいに。
こうすると、日向はいつもはにかんで
太陽みたいな笑顔になるから。
あの時、大地もきっと
こんな気持ちだったのかな…。
「わ、わ、分かりましたっ、もし何かあったら言ってくださいっ…!」
日向はそれでもまだ心配そうな表情を浮かべて、体育館に戻っていった。大地よりも二回りくらい小さなその背中を見送って、私は小さくため息をつく。
(1年生の日向にまで心配されてどうするのよ。
部活のときくらいしっかりしなきゃ…)
ペチンと自分の頬を両手で叩いて、私は潔子のもとへ向かった。