第1章 Sunflower【澤村大地】
私の好きな人ーーー澤村大地とは、中学からの付き合いだ。お互いバレーボール部で、大地は男子バレー部の主将、私は女子バレー部の副主将だった。
同じ体育館を半分に分けて使っていた私達は、毎日のように部活で顔を合わせていた。けど、当時の私は部活一筋で、大地のことも《男子バレー部の主将》で《怒ると怖いヤツ》くらいにしか思ってなかった。
そんな大地の印象が、中学3年の夏の大会でガラリと変わった。今でも、ハッキリと覚えてる。
最終セット
一点差
相手のマッチポイント
追い込まれた状況で、相手チームは見事なスパイクを決めた。敗因は私のレシーブミスだった。
中学最後の大会。
私は、それを自分のミスで終わらせた。
試合後、私はロビーの隅っこで一人、声を殺して泣いた。その時、試合の合間に体育館から出てきた大地は、遠くから私の姿を見つけたらしい。
大地と目が合う。
私が泣いているのに気付いたのか、
ハッと驚いた顔。
気まずくて私はすぐに目を逸らした。グイ、と涙と鼻水を拭って、慌ててその場を離れようとした時、大地が小走りに駆けてきて呼び止めた。私は泣き顔を見られないように、背を向ける。