• テキストサイズ

短編集【ハイキュー】

第2章 Last smile【月島蛍】


「もう戻って来たくなくなるんじゃない?」

「…………」

うつむいて黙ったまま、みなみはトボトボと歩き続けた。居心地の悪い沈黙とは裏腹に、爽やかな朝の小鳥の鳴き声がする。

しばらくして、みなみはそっと呟いた。

「……蛍は…それでもいいんだ…」

「…別に。だって、僕がどうこう言ったってしょーがないでしょ。もう留学は決まってるんだし」

「………っ」

みなみがピタリと足を止める。それにつられて僕も立ち止まる。

それまで俯いていた彼女が突然顔を上げ、一言。

「蛍のバカッ!!寂しくなったって知らないからね…!!」

それだけ言い放って、みなみは弾かれたように駆け出した。僕だけを取り残して。


今なら、分かる。

あの時君は、本当は僕に

引き止めてほしかったんじゃないか。

それ以来、僕らは並んで歩かなくなった。

/ 24ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp