第2章 Last smile【月島蛍】
人に期待なんてしない方がいいと思ってた。
誰かに期待されるのも嫌だった。
だけど、
もしかしたら、みなみといる時、
僕は心のドコかで
望んでいたのかもしれない。
僕が君にとって、他とは違う
『特別な存在』なんじゃないかって。
否定されるのが怖くて、
自分の気持ちを認めるのも怖くて、
結局いつも聞かなかった。
聞くつもりもなかった。
僕は気付かないふりをして、
自分のココロに蓋をし続けた。
毎朝、扉を開けると君が待っていて。
僕と目が合うと笑顔になって。
特に自分からは口を開かない僕に、
君が一方的に話しかけて…。
そんな日がこの先も続くんだと思ってた。
それでいいと思ってた。
だけど、変わらないものなんて無いんだと
あの日僕は思い知ったんだ。
そんなの分かってたはずなのに。
そのうち、君は僕の前から
いなくなったんだ。