第1章 Sunflower【澤村大地】
「みなみはさ、なんで澤村に言わないの?自分の気持ち」
私は深く息を吸い、呼吸を整える。
「…潔子と同じ。大地には好きな人がいるもの。それが私の大好きな友達で、その子も大地のことが好きだから…」
「…うん」
「中学の時から、ずっとそうだった。見てて分かるもん。…だから、私の入り込む隙間なんてないんだ」
「…うん」
「…大地のことも、その子のこともすごく好きだし、大事なの。だから、私が今さら気持ちを伝えて、お互いギクシャクするのはヤダ。…でも、大地のこと諦めようと思っても無理なんだもん。自分でもどうしたらいいか分かんない…」
「…うん」
潔子は相づちをうちながらただ話を聞いていたけど、何か言いかけたところで、突然ドアの向こうから見回りの先生の声がした。
「誰かいるの?もう下校の時間、とっくに過ぎてるわよ!」
「あっ、す、すみません…!!」
私は慌てて涙を拭い、荷物をまとめ、二人して足早に外に出た。