• テキストサイズ

短編集【ハイキュー】

第1章 Sunflower【澤村大地】


靴を履き替え、前髪を整える。
制服のよれを直して、
深く息を吸い込んだ。

廊下の向こうから足音。
大地の低い話し声。
高鳴る胸を抑えて振り向くと、
そこには並んで歩く
大地と結の姿があった。

「すまん野村、待たせたな」

「あれ、みなみも今帰り?お疲れ様!」

「結…どーして…」

「澤村に小説借りてたんだー。今日の昼休みに返そうと思ってたんだけど返しそこねちゃって」

「……そっか」

『ーーーそれなら、さっき私に預けてくれれば良かったじゃない』

そんな言葉を飲み込んで、
私は大地に笑顔を向ける。

「ごめん、大地!更衣室に置き傘あったんだった!私は大丈夫だから、送ってくれなくてもヘーキ!」

「そうか?それならいいけど…」

「うん、わざわざゴメンね…!取りに戻るから結と先帰ってて!」

精一杯投げた言葉の最後が、震えて消えた。

お願い、
もう少しだけ堪えて、
大地の前で泣きたくない…

「じゃあ!」

「え?あ、あぁ…」

二人の返事も待たずに背を向ける。
大地が何か言いかけたけど、
聞こえないふりをして駆け出した。


…知ってる?大地。

結といる時は声のトーンが変わるんだよ。

私と話す時と違って、笑顔になるんだよ。


…大地のバカ。
私の気持ち、全然知らないくせに。
/ 24ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp