Everlasting Lovers *ディアラバ*
第10章 生贄の花嫁
今から少し前、逆巻家に行くことが決まった頃だった。
「 リリ、お前に話しておきたいことがあるんだ。」
クリスタさんに会いに来た時、カールハインツさんに話しかけられた。
「 なんですか?」
「 まあ とりあえず座りなさい。」
と 彼は言い、ソファーに腰掛けた。私も向かいに腰掛ける。
「 お前が来てしばらくしたら、人間の娘が家に来る。」
なんで 吸血鬼の巣窟に人間の女の子が、、
「 お前みたいにハンターという訳でもない。無力なただの人間だ。」
「 …なんで そんな子が逆巻家に?」
「 息子達の花嫁候補だ。彼女は特殊な血の持ち主でね、それを手に入れたものは私をも凌ぐ力を手に入れる。」
「 … そんな話、はじめて聞きました。それに代々 逆巻をはじめとする名家の花嫁は魔界の方じゃ、、」
「 確かに 私の妻は3人とも魔界の者だ。でも先祖の何人かは人間の娘を妻にした。まあ 娶った時は すでに人間じゃなくなっているが。」
「 人間じゃなくなってるって…」
「 逆巻の一族が かつて娶った人間の娘は、皆 特別な血を持つ者だ。その者を吸血鬼に覚醒させることで 絶大な力を手に入れることが出来る。そして その娘から生まれた者は、父をも越す力が手に入る。 だが、その強大な力は次の代へ渡るごとに弱まっていく。その頃 またその血を持つ者が現れる。 こうして一族は 力を得てきたんだよ。」
思った以上に 話が壮大だ。
「 …わかりました。 それで今回もその血を持つ子が来るんですね?」
「 ああ、その娘を一族は生贄の花嫁と呼んでいる。」
生贄の花嫁…
ひどく冷たい響きをもつ その言葉は鮮明に私の心に焼き付いた。