Everlasting Lovers *ディアラバ*
第6章 兄を探して
ポツリポツリと水が落ちる音が、大きく感じた。
レイジさんの目が見開く。
「 は?」
「 と 言っても、今は休暇中ですけど。」
驚きを隠せないまま、彼が言う。
「 … 私達は規約を犯してないはずですが。」
ヴァンパイアハンターと言っても、私達の仕事は 吸血鬼を殲滅することじゃない。ハンター側と吸血鬼が決めた規約を違反したものを取り締まるのが主な仕事だ。
「 知ってますよ。休暇中って言ったでしょ?前にカール ハインツさんのご厚意でと言いましたが 本当は違います。私には目的があって、彼と取り引きのすえ ここに来ました。」
「 なぜ、私にその話を?」
ここに来る前は、こんなこと話すつもりなんてなかった。必要以上に関わらないようにしようとしか思わなかった。
でも、楽しかった。一緒に食事をしたり たこ焼きパーティーをしたり、誰かの側にいることが…
5年間、ほとんど ひとりぼっちだった。だから たとえ吸血鬼でも 同じ空間にいたら温かい。たとえ吸血鬼でも、
「 信じたいと思ったからです。あなた達を。私の父は吸血鬼に殺されました。仕事でも悪い吸血鬼をたくさん見てきた。でも、、一緒に暮らすんです。私はあなた達を信じたい。 … あなた達にも私のことを知って、信頼してほしい。」
レイジさんがメガネを上げて言う。
「 …じゃあ 貴女の目的はなんなんですか?」
そうだ。 私の目的は、
「 兄を探しています。5年前、この町で起こった火事で行方不明になった兄を。」
「 …5年前の火事。」
「知りませんか?この屋敷より、少し離れたところにある住宅街で火事が起こり、私は母を亡くしました。 …でも 兄は、生きているかもしれない。」
レイジさんを見ると、いつもとは明らかに表情が違っていた。