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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第37章 遊郭へ



「駄目だ! 耐えろ!!」


 背中から覆い被さったまま、禰豆子の牙を食い止める。
 それでも相手は鬼化が進んだ鬼。牙を剥き涎を溢れさせたまま暴れ回った。


「ガアアアァア!!」

「ごめんな! 戦わせてごめん!」


 鞘に収めた刀で牙を食い止めている為、禰豆子を傷付けることはない。
 それでも炭治郎の鼻は、そこら中から溢れ漂う禰豆子の血の匂いを捉えていた。


「痛かったろう苦しいよな! でも大丈夫だ! 兄ちゃんが誰も傷付けさせないから!」


 堕姫との戦闘で禰豆子がどれだけ傷付けられたのかがわかる。
 見た目は怪我をしていなくても、再生能力があるのだ。
 きっとただの人間ならば死ぬ程の怪我を負ったに違いない。


「眠るんだ禰豆子! 眠って回復するんだ!!」

「ヴァアアア!!」


 禰豆子なら睡眠で回復することができる。
 禰豆子の腹部に後ろから脚を交差させて張り付き、何度も言い聞かせた。
 それでも唸り声を上げる禰豆子に兄の声は届かない。


「禰豆子! ねず…っ」


 軽々と炭治郎を背中に乗せたまま、禰豆子は唐突に足場を蹴り上げた。
 その勢いは凄まじく、一蹴りで裕に天井を越える。
 故に矢のように天井に衝突した禰豆子は、木目の壁を突き破り二階まで吹き飛んだ。
 背中からその衝突を受けた炭治郎はひとたまりもない。
 それでも禰豆子から手を離すことなく、必死で暴れる妹を押さえ続けた。


「炭治郎! 禰豆子!」


 その後を蛍も追う。
 鬼化した禰豆子には実兄である炭治郎の言葉が一番響くはずだと思っていたが、そうではないらしい。
 このままでは炭治郎にまで禰豆子の牙が向いてしまうかもしれない。


「ッ」


 穴の空いた天井に跳ぼうとした時、背後から広がる殺意に気付いた。
 振り返ると同時に手を振り払えば、蛍の足場から影が波のようにうねり上がる。
 バチン!と弾いたのは躑躅色のしなる帯。
 見覚えのある帯に見開く蛍の目が、暗闇から歩いてくる人影を捉えた。

 否。人ではない、鬼だ。

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