第1章 はじまりは…
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孝支君はわざわざ私の歩調に合わせて、並んで歩いてくれた。最後に会った時は私よりも背が低かったのに、今は見上げないと孝支君と目が合わせられない。声も低くなったし、肩幅も背中もぐんと広くなって“男の人”になってた。昔は“可愛い弟”という感じで可愛がっていたけど、今はそんな風に子供扱いすると、孝支君が怒るかもしれない。
そんなことを考えながらもう一度孝支君を見上げる。端正な顔立ちに、私も羨ましくなるくらい綺麗な白い肌。同級生の女の子達から人気がありそうだな、と思う。
『ーーーすごいイケメンになってるかもしれないわよ…!』
今朝のお母さんの言葉を思い出して、私は密かにドキドキしてしまった。と、私の視線に気付いたのか、孝支君の視線とぶつかる。
「え…何?俺の顔なんか付いてる?」
パッと目を逸し、私は慌ててごまかした。
「あぁ…ううん!何でもない…!!」
「何?もしかして、見とれてた?」
意地悪そうな顔で私のことを覗き込む。そんなことない!と否定したものの、ズバリ言い当てられて耳まで赤くなっていくのが自分でも分かる。
遠くに校門が見えて、私は慌てて話を変えた。
「あ…!学校着いちゃったね…!!ごめんね、一緒に歩いてもらって…」
「いーべいーべ、別に急いでなかったし!」
孝支君は眩しい笑顔で笑った。
「じゃあ私先に行くね!あんまり生徒と一緒に登校しない方がいいと思うから…」
「そっか、じゃあまた。がんばれ野村センセイ!」
「うん、ありがと!」
私は手を降って孝支君と別れた。新しい環境は知らない人ばかりでどうしようと思っていたけど、なんとなく心強い味方を一人見つけたような、そんな気がした。