第5章 練習試合と邂逅
翌週の火曜日の放課後。部室でそれぞれ着替えを済ませ、外に出る。今日向かうのはいつもの体育館じゃなく、駐車場だ。
「あ…!おーい!こっちです、こっち!」
こちらの姿を見つけ、先に待っていた武田先生が手を振った。その後ろには、遠征や合宿のときに使う小型バスが停めてある。
「全員揃ってますね」
「はい。お待たせしました!
…じゃあ、全員整列っ!挨拶!!」
『お願いしァース!!』
「はい、こちらこそお願いします。」
そう言って武田先生は律儀にお辞儀をし、咳払いをして続けた。
「今日はあの青葉城西高校との練習試合です。先方の都合で一試合しかできない約束ですが…。強豪と直接対戦できる貴重な機会を、しっかりと後に活かせるよう頑張ってください!」
「は、はひぃっ!!!!」
先生が言い終わるやいなや、日向が大げさなほど体を反らせて返事をした。
(マズイ、日向のやつ緊張し過ぎてガチガチだ…)
同じことを思ったのか、大地も“ヤバイぞ”という視線を俺に向けてくる。おずおずと武田先生が声をかけた。
「ひ、日向君、緊張してますか…?」
「だっ、だ…ダイジョウブ、ですっ!」
「あ、そういえば…!野村先生は会議の関係で遅れますが、後ほど合流しますよ。野村先生にも良い報告ができるよう頑張りましょう!」
そう言って、武田先生は満面の笑顔で日向の肩を叩いた。武田先生は励ましたつもりだったんだろうけど、残念ながら日向には逆効果になってしまったようだ。
「は、ハイっ、しっかり報告できるように、良くガンバリマスッ…!」
「先生っ!日向にプレッシャー駄目です…!」
「えぇっ!?そ、そんなつもりはっ…!」
俺には日向が、壊れたロボットみたいに頭から蒸気を上げているように見えた…。すかさず大地が助け舟を出す。
「と、とりあえず全員バス乗るぞ!遅れたら話にならんからな…!!」
「はぁー…日向のヤツ、大丈夫かな…」
「まぁ、ちゃんとした試合は初めてに近いみたいだからな…。とにかく周りがフォローに回って、あまりプレッシャーかけないように気を付けるしかないだろ…」
「だよなぁ…」
ため息をつく大地に続いて、俺はバスに乗り込んだ。