第4章 それぞれの帰り道
「俺は全然平気だけど…ソッチさえいいなら」
さっきポケットに突っ込んだ手の平をもう一度取り出して「繋いでみる?」と冗談ぽく差し出すと、みなみさんは湯気が上がりそうなほど顔を真っ赤にした。断ればいいのに、おずおずとその手を握って、目を逸らす。
みなみさんは顔を赤くして、すっかり黙ってしまった。二人分の足音だけが響く。
「…みなみさん、もしかして手繋いだりしたことないの?カレシとかとさ」
「もっ、モチロンあるわよ、ちゃんとっ…」
「じゃあなんでそんなに赤くなってんの?」
「赤くなってないです…!こっ、孝支君は女の子の扱い慣れてそうよね、すごく、その…モテそうだし…」
「ははは、どうかな〜」
「もう…」
沈黙が続かないようにわざとおどけて見せたけど、ホントは彼女の手を取った時、俺の心臓は飛び出しそうなほどバクバクしていた。繋いだ手から、どんどんスピードの上がる心臓の鼓動や、ひっそりと抱いたやましい感情まで伝わってしまいそうな気がして心配になったほどだ。
暗くてよかった。
俺も、きっと耳まで赤くなっていたから。
俺よりも冷えた柔い指先を、潰してしまわないようにそっと包んで、俺たちは帰り道を並んで歩いた。