第8章 Coffee Breakをしよう②
言いながら菅原さんは立ち上がり、さっさと自分の布団へ行ってしまった。それを合図にするかのように、その議題はひとまず終了して、各々自分の布団へ入る。
(わかりやす…)
幼馴染なんて、昔の恥ずかしい思い出とか、隠しておきたい事まで知られてるから、近くにいたら鬱陶しいだけだと思うけど。
そんなことを考えていると、すぐ隣の山口と目が合う。
「…え、なに?俺の顔なんか付いてる?」
「別に…。じゃ、おやすみ」
「うん。おやすみ、ツッキー!」
『じゃあ、電気消しまーす』
縁下さんの呼びかけとともに、部屋の電気が消される。僕はメガネを外し、ようやく布団に横になった。
暗くなると、カーテンの隙間から弱々しい月の光が差し込んできた。柔らかなその光は、いつも少しだけ安心させてくれる。疲れが波のように一気に押し寄せ、深い眠りの沖合に押し流されるように、僕は瞼を閉じた。