第7章 Coffee Breakをしよう①
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その後、みなみさんはキッチンを一通り片付け、何事もなかったようにいつもの優しい笑顔で帰っていった。
「…そんなに頼りないかよ、俺は」
ひとりぼっちの部屋に、唸るような声が響く。
みなみさんが人一倍頑張り屋で、それを表に出さないのは知ってる。素直なクセして変なところで頑固なのも昔からだ。それを知ってるからこそ、せめて俺にはあんな風に、無理して作った笑顔を見せないでほしかったんだ。
…それなら、せめて俺のできる範囲で支えになろう、と思う。今は必要とされてなくたっていい。みなみさんが誰にも弱音を吐けなくなった時、その時は俺がそばにいよう。みなみさんが藤宮じゃない、誰か別の人を必要とした時、その時にきちんとこの気持ちを伝えよう。
…そう、心に決めた。