第9章 My sweet honey
「ふえっ?」
変な声、出た。
......巨匠、今、何と?
智は、笑顔でスケッチブックを抱き締めて、
「この絵、俺にくれるでしょ?」
と、もう一度言った。
俺は、驚きながらも、
「あげるも何も、それ、
元々、智んだし....
でも、そんなの、さ....」
「欲しいの!!
翔ちゃんが描いてくれた、俺だよ?
宝物にする♪」
.....宝物、って、あなた....
「だって、クロマニヨン人だよ。
あっ、分かった。落ち込んだとき、
見て、笑う..みたいな?」
俺がわざとふざけて言うと、
智は、ニッコリしながら、
「俺の御守りにするの!
見れば見るほど、味があって、
可愛いし🎵」
と言って、また、眺めた。
.....
.......よく、分かんないけど。
恥ずかしいけど...。
...でも、うれしいかも( 〃▽〃)
少しの照れもあって、俺は、
「智が、描いてるの、見ててもいい?」
と話題を変えた。
「別に、構わないけど...
面白くも、ないよ~」
そう言いながらも、また、絵筆をもって、
キャンバスに向かった。
俺は、少し離れたソファから、
智の真剣な横顔を見ていた。
......ほんとに。
.......きれいだな...。