第9章 My sweet honey
「翔ちゃんは?一緒に食べよ♪」
「俺は、食べたから...」
そう言いながら、俺は、
智が仕上げたいと言っている絵を観ていた。
正直、絵に関しては素人以下の俺だし、
彼の作品だから言うわけじゃなけど。
........上手い。
....というか、凄い。
その絵は、じっとこっちを見ている、
外国人の男の子で、
圧倒的な存在感を持っていた。
「.....」
黙っている俺に、唐揚げを頬張りながら、
「まだ、完成じゃないんだけど、
どうかな~?」
と、智が聞いてきた。
俺ごときが、
どうこう言っていいレベルでは、
既にない。
「やっ....すげーよ。
あなた、やっぱ、天才だね...」
やっとのことで、そう言うと、
「嬉しい。翔ちゃんに褒めて貰うと、
自信が着く♪」
もごもご食べながら言う智の顔を、
改めて、見た。
どう見ても、普通の感じなのに、
こんな絵を描いてしまう彼。
.....やっぱ、尊敬する。
かっけーよ、あなた。
「俺さ、もう、帰るよ...」
そう言って、笑うと、
智は、急に眉を下げて、
「どうして!今来たとこじゃん!」
焦ったように、そう言った。
「だって、俺がいたら、集中できないでしょ?
せっかく、こっちに籠った意味、
なくなっちゃうじゃん...」
俺は、精一杯の笑顔で、答えたんだ。