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アイサレテル [R18]

第2章 期待






すると、もうそこに父達の姿はなかった。




頭に“?”を浮かべていると






「ご主人様はお父様と一緒に飲み直すそうで、別のお部屋へ行かれました。」






後片付けに来たらしいアルベルトさんが、後ろから教えてくれた。




そうか、と思いながらも

黙って行かれたことに何だか気分が悪った。





「あの子はどこへ?」





「…………」





手を止めて鬱陶しそうな顔をして

ゆっくりと振り返った。








ぁ……







そういえばまだ彼に謝罪をしていないのを思い出した。









「ぁ…アルベルトさん。」




「目を……みたこと


僕はそんなつもりはなくて。


その………本当にすみませんで」





「アナリア様はお部屋へ戻られました。」







言いきる前に遮られた。






お部屋?





つまり彼女はここに住んでいるということだろうか






「…私も先程は大変失礼な発言をしてしまい、申し訳ございませんでした。」






僕は、そんな!と恐縮する。




そして彼は向き直り、カチャカチャと食器をまとめはじめた。

垂れた前髪を耳にかけ返し、淡々と働く。







「あの………彼女はここに住ん」




「まだ、何か?」



「……………」






怖い






軽く頭を下げて、僕は居間を後にした。



出来ることならもう彼と話をしたくないと思った。











アナリア…





“お部屋へ戻った”と言うからには


彼女はここに住んでいるんだ。



しかもあんな綺麗な服を着させてもらって



なんだ?


この家の子じゃない、と本人が言っていたし


養子とかだろうか……




明日誰かに聞いてみよう。









怖い執事の顔を書き消すように、アナリアのことを思い浮かべながら

ベッドに潜り込み、目を閉じた。













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