第8章 葛藤

ますますパニクる兄さん。僕がもう一押しと言わんばかりに詰め寄ろうとすると、


「もう、チョロ松兄さんうるっさい。十四松兄さんも、その辺にしといてあげなよ」


いつの間にか後ろに来ていたらしいトド松に、肩をぽんと叩かれた。


「で、何やってるの十四松兄さん。好き嫌いってなんの話？」


「鈴のこと大好きかどうか、みんなに聞いて回ってるんだー！」


「…トド松、頼むからこいつの暴走止めてくれない？俺つっこむの疲れてきた…」


はぁぁ…とため息をつくチョロ松兄さんを、なぜか憐れみの目で見るトド松。


「…もしかしてチョロ松兄さん、意味履き違えてない？人として好きかどうかってことでしょ。恋愛対象じゃないよね？」


「え、そうなの？」


２人が同時に僕に顔を向ける。


んー？なんて言ったらいいのかなぁ。


僕は少し考えて、とりあえず思っていることを全部打ち明けることにした。


「えっと、鈴がおそ松兄さんの彼女だっていうのはもちろん知ってるし、応援してるよ。おそ松兄さんが好きな人は僕も好き！でも、それって僕だけなのかなって疑問に思ったんだ」


「どうして？」


「前おそ松兄さんが言ってたんだけど、メッセージ送ってもチョロ松兄さんからは全然返事がこないって鈴が嘆いてるんだって！」


「なっ？！」


「うわサイテー」


「い、いやいや、返事してるよ？¨明日学校だからおやすみ¨ってちゃんと返してるよ？」


「それ返事って言わないから！めんどぐさがってるだけだからね？！」


「あと、トド松も」


「え、僕？僕はちゃんと


「こないだ街で見かけて手を振ったら、目が合って明らかに気付かれてたはずなのに無視されたって！」


「がはぁっ！(謎の吐血)」


「お前もっとひどいじゃん！」


「ナ、ナンノコトダロー」


「棒読み！ってかなんなのさっきからそのおそ松兄さん情報！…いや、彼女が訴えてるのか…」


「みんな嫌いなの？なんで？仲良くしようよ！」


「「……」」