第3章 謎の少女
「頼むッ!!」
「何度言ったら分かるの?」
「もう一回勝負してくれ!!!」
「私はね、あんたと違って暇じゃないの」
顔の横で手をヒラヒラさせて、サボを追い払おうとする。
だが、聞こうとしない。
「あんたと私じゃ釣り合わないってこと分かんないかなぁ」
「…ッんなこと……」
「うるさい!!もういい加減にしてよ!」
来週は遠征で会議や、支度が大量にある。
そんな中で構ってはいられない。
「そこをなんとか!!な!!!」
「あぁ!もう、遠征から帰ったらね!!」
「本当か!?」
「二度言わせないでちょうだい!!本当よ」
ルーリナはサボを部屋から追い出してコアラを呼んだ。
「あのサボって子、あなたが見張っててくれない?」
「えっ!!?」
「頼むわ」
「ど、どうして私ですか!?」
「優秀じゃない」
「い、いやぁ。…わかりました。引き受けます」
コアラは改めてすごいと思った。
意図も簡単にのせられた。
そういう賢さも兼ね備えている彼女は偉大だと。
「…全く、あの子一体どこで育ったのよ。やけに喧嘩慣れしてるじゃない」
「ハハハ…ですよね」
「強いって言えば強いのかもしれない。でも、ちゃんとした戦い方を知らないから相手に動きを読まれるんだわ」
一度やり合っただけで、そこまで観察していたとは。
コアラは言葉をなくした。
「さ、もういいわ。ありがとう」
「い、いえいえ」
この年でこの強さと、賢さ。
大人になったらルーリナは、どうなっているのだろう。