第15章 猫王子と修学旅行
?「…話を戻そう。お前は元の世界に帰りたいのか」
『帰れるなら帰りたい。でも…あたしは死んだんでしょ?』
?「死んではいない。ただ魂だけこちらに来ている状態だ。しかし、これ以上肉体と魂が離れれば確実に死んでしまう」
『そんな…じゃぁ、あたしはどうしたらいいの!?』
?「簡単な事だ。祈ればいい」
『…祈る?』
?「あぁ。だがただ祈ればいいという問題でもない。現世でが帰ってくるのを一番願っている人物に対して波長を合わせ、自分自身を見つけてと祈ればいい」
『なーんだ、簡単じゃん。奈央でしょ、赤司でしょ、はゆるに春に…』
?「何を聞いていた、僕は1番と言ったはずだ。もちろん、1人だ」
『…えっ』
?「想いの強さは僕達の世界では数値として表れている。数値が一番高い思いを発している人物にのみが祈る事でこの世界とあちらの世界が繋がる。その時に戻れば、はあちらの世界に帰れる」
『もし、違ったら…』
?「チャンスは1回。もし答えが違えば二度とあちらの世界に帰る事はない。つまり、は死ぬ」
間違えれば文字通り、死ぬ。誰があたしを一番心配してくれているか…?そんなの分かんない。
奈央?奈央は親友だ。いつもあたしの傍にいてくれた。いつもあたしを心配してくれた。いつもバカやって笑っていた。
はゆる?はゆるは頼れる部活仲間だった。はゆるとの相性は最高で、2人のコンビで何点も決めたし、何より大切な相棒だった。
春?春はずっと一緒にいた大切な幼馴染…ううん、告白してくれた。だけど多分、春にはあたしがこうなっている事は知らされてないから、きっと今心配なんてしてないだろう。
それとも…
赤司?
赤司はこんなあたしを好きだと言ってくれたし、なにより気が付けばずっと隣にいた気がする。
?「…そろそろ時間だ。答えを示せ」
『…ねぇ神様』
?「何だ」
『無事向こうに戻れたら…その時はありがとう。神様がいてくれたからの結果だよ。だけど、もし戻れなかったら…笑ってね』
?「…大丈夫だ。はその人物を信じたんだろう。ならば、それを貫け」
『…ほんと似てるよ。じゃ、行ってくるわ』
お願い、あたしを見つけて。
赤司。