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猫王子と犬平民

第15章 猫王子と修学旅行


『フーッ…フーッ…』

麗華「…何よ、殴っても良かったのよ?」

『てめーみてぇな女を殴っても何も解決しねーよ。アンタは殴る価値にも値しない』

麗華「残念ね。あなたが私を殴れば、あなたは確実に赤司君に嫌われるのに」


あたしは真田麗華を掴んでいた手を外すと、思いっきり睨んだ。少しだけ、真田麗華の肩が揺れる。


麗華「…話を戻すわ。赤司君が洛山を受けると聞いて、私はやっぱり運命だと思った。同じクラスにもなり、もちろん部活も同じ。赤司君はとても綺麗にバスケをするの。あなたには分かるかしら」

『赤司のバスケは綺麗だよ。アンタに言われなくても分かってる』

麗華「そう…初めて意見が合ったわね」

『…で、そんな事を言いにわざわざ呼んだわけ?あたしも暇じゃねーんだけど』

麗華「まさか。私も暇じゃないわ。今日あなたを呼んだのは他でもない。赤司君から引いてちょうだい」

『…あたし言ったよな。赤司とは縁を切りたくない。好きかどうかは問題じゃない。アンタが見てもらえるように努力すればいいだけ』

麗華「それが問題なのよねぇ。赤司君、あなたに嫌いって言われるまで諦めそうにないもの。それも、私がいくらアピールしても、あの綺麗な瞳には私は映らない」

『それくらいで諦めるわけ?あたしだったらもっと頑張るけどな』

麗華「諦めないからここにいるんじゃない。ま、良い返事をもらえるとは思ってなかったけどね」


麗華ちゃんはスッと片手を上げた。それに合わせて、後ろのSPのような人達が歩き出した。


麗華「私、思いついちゃったのよね。私と赤司君がこうなってしまったのも、全部あなたが洛山に来たせいだって。あなたが消えてしまえば、全て丸く収まるんじゃないかって」

『…あんた、そんな事して済むと思ってるわけ?』

麗華「大丈夫よ。ばれなきゃ済む話だから。それにもしばれたとしても、あなたに赤司君を取られるくらいなら…嫌われた方がマシよ」


その直後、人の気配がすぐ後ろまで来ていた。運動神経を駆使して避けるが、数が多すぎる。お腹に一発食らってしまい意識が薄れたスキに、両脇を固められた。

そしてそのままずるずると引きずられ、体が浮いたと思ったら背中に激痛が走り、あたしは意識を手放した。
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