第15章 猫王子と修学旅行
麗華「私がお嬢様って事はもう知ってるわよね。私は生まれた頃から、あなたが遊んでいた時でも私は月島家…いいえ、真田家にふさわしい女になるために努力してきたの」
『…へぇ。それはさぞ大変な事でしたね…』
麗華「そう、大変だったのよ。だけど、私がいくら頑張っても真田コーポレーションは衰退の一向を辿っていったわ。そこでお父様はある計画をたてたわ。今の世の中では珍しいけどね」
『珍しい、事…』
麗華「当時…いいえ、今この瞬間にも財閥界の頂点に立っている赤司財閥との協定…つまり、私と赤司君の政略結婚よ」
『は、ははっ…それは笑っていい事なのかな』
麗華「信じられないでしょうね。今の時代、本当にあるなんて私でさえ信じられなかった」
『赤司はそれ、知ってるの?』
麗華「知らないと思うわ。当時の私はまだ未熟だったから、一人前の女になるまで知らせないという協定だったのよ。でも私は写真で毎日のように赤司君を見ていた。幼稚園の赤司君も、小学生の赤司君も、中学生の赤司君も…全部、ね」
ふふふっと笑う麗華ちゃんは、もうあたしの知っている麗華ちゃんじゃなかった。だから余計に、怖い。
麗華「赤司君は年を重ねる度に綺麗になっていったわ。私は親元を離れ、1人で女磨きを続けた。ちなみに、奈央ちゃんが私の両親だと思っていた人達は、私の使用人。私の両親は今も東京にいるわ」
『…何それ。何だよそれ!!!今まで…10年以上もずっと奈央を騙してたって言うのかよ!!!大事な幼馴染じゃないのかよ!』
麗華「確かに幼馴染よ。けれど、私は奈央ちゃんの事友達なんて思ってない。あんなガサツで自分勝手で女としての品もない女、私が友達に選ぶわけある?」
『ギリッ…』
あたしは麗華ちゃんの…いや、真田麗華の胸倉を掴んでいた。殴ろうと振り上げた拳をギリギリの所で止める。