第12章 猫王子と体育祭
放送「おーっと!!!赤組、超ファインプレー!!ここで情報が入ってきました!男性の方は全国優勝を何度も果たした我がバスケ部噂の1年主将であり、女性の方は期待の新星のバレー部エース!!このお題は容易すぎたかー!?」
『ちょ、あたしの説明短っ!!!ナメてんのか実況!!!』
放送「噂通り口が悪かったー!!バレー部主将、あとでシメといてくださーい」
『はっ!?きたねーぞコラ!あぁぁ先輩こっち見ないでぇぇぇ!!!』
「うるさいぞポチ。少し黙っていろ。ほら、急ぐぞ」
そう言えば、と思い自分の左手を見る。自然との腰に手を回した自分の左手。意識すると、とんでもない事をしていると思い引っ込めてしまった。
『は?ちょっと赤司、どうしたんだよ』
「い、いや…」
『手離したら体も離れて走りにくいんだけど』
「…すまない」
『すまないじゃねぇよ。チッ…何?変に意識したわけ?赤司の変態』
「なっ!」
『どうでもいいけどさ、後ろ。抜かれたらどうすんの』
チラりと後ろを振り返ると、黄組の男子ペアが物凄い勢いで追い上げてきていた。
自分の羞恥で負けるわけにはいかない。僕は再び
の腰に手を回した。
「…すまない」
『どーも。ほら、最後のスパートだよ!』
僕達はスピードを取り戻し、再び差をつけて1着でゴールした。
『ねぇ変態王子』
「…変態はやめてくれ」
『あたし、赤司がペアで良かったよ』
「…僕もだよ」
『クスッ…ほら、皆が待ってる』
は僕の手を引いて歩き出した。ごく自然と握られた手にドキっとするものの、まだ意識されてない事に不安を感じる。だが悪い気はしない。
これが惚れた弱みというやつなのかもしれない。