第12章 猫王子と体育祭
玲央さんから根武谷さんにバトンが渡り、次々と順番を回していく。前半のレギュラー組でリードした差も、中盤の名前が分からない部員でなくなってきた。終いにはサッカー部と陸上部に抜かれ、バスケ部は今3位。
主将「ったく、根性見せなさいよバスケ部~。せっかく実渕君が作ったリードが無くなってしまってるやんか!」
『…根武谷さんも頑張ってましたけど』
主将「そうだっけ?」
『酷い!!玲央さん贔屓しすぎだこの先輩!』
主将「あ、葉山くんに渡った」
バトンを待つのは残り2人。その1人である葉山さんにバトンが渡った。軽い身のこなしで1人抜き去る。残るは陸上部のみだけど、あの人は知ってる。
『確か今年のIH、短距離で短距離で優勝した人?』
主将「よく覚えとるなぁ。そや、いくら葉山君が早くても追いつけへんなぁ。それに陸上部のアンカーはIHで中距離優勝した人や。バスケ部は2位かぁ」
通常の走者が200m走る中、アンカーは倍の400m走る。いくら中距離だからと言っても多分、早いだろう。バスケ部のアンカーは赤司なわけで。
葉山さんからバトンが渡った時には差は100m近くはあった。半分走った今でも、その差は変わらない。
『…赤司ぃぃぃぃぃ!!!負けたら猫耳だかんなぁぁぁ!!!』
気が付けば叫んでいた。バレー部であるあたしにとって、バスケ部が負けようが関係ない。だけど、赤司が負けるのだけは…嫌だった。