第12章 猫王子と体育祭
奈央「始まった!うわ、ダントツで早いやん!先輩らもおるのに…運動神経だけはええなぁ。運動神経だけは」
「聞こえていたらまた煩くなるぞ」
奈央「聞こえてへんから大丈夫や。あ、くじ引いてんで!何取ったんやろ」
はカサカサと紙を引いた後、動きが止まった。その紙には何と書いてあるのだろう。川崎の言う通り、恋愛絡みが主だとすれば、僕の元へ来てほしいという欲が生まれてくる。
「…」
奈央「ちょ、こっち来てへん?赤司君!こっち来てるで!!」
「ま、まだ分からない。僕の近くにいる誰かかもしれない」
そうだ、まだ分からない。落ち着け征十郎!!!
『赤司!一緒に来て!!!』
…今何て言った?
『ちょ、聞いてる赤司!?』
奈央「赤司君!?」
「僕、なのか?」
『他に赤司って誰がいるんだよ!!ほら、行くよ!』
ルール上、借り人と借りられ人は手を繋がなければならない。それは例外なく僕達も同じだった。はしっかりと僕の手を握ってくれている。
放送「今ゴールイン!何と圧倒的速さでゴールしたのは赤組の1年コンビ!おめでとうございます!今お題と確認しています…おっと!どうやら合格の模様です!」
『ハァッハァッ…ありがと赤司!おかげで助かったよ!』
「…あぁ」
『王子?疲れたとか?』
「いや…、紙には何って書いてあったんだ?」
の気持ちを聞けるかもしれない。嫌いな人なんてお題は存在しないだろうと願いつつ、好きな人だといいと思いながらの返事を待つ。
『あぁ、お題はね…
"目立つ"人』
「…あぁ、そう…」
『?赤司?おーい?』
そういうオチだと思った。