第12章 猫王子と体育祭
赤司side
放送「借り人競争に出場される方は、テントまで集合してください。繰り返します…」
『あ、あたしの番だ』
奈央「気張りや、~」
『もう少し…いや、もっとやる気を出して応援してくれないかな奈央ちゃんや』
奈央「さっきのアンタもこうだったんや~」
『ぐぬっ言い返せぬ…まぁよかろう。それでは皆の者、、行って参る!!!』
全員「いってらっしゃ~い」
『全員やる気ねぇのかよ!泣きそう…』
わざとらしく肩を落として集合場所まで歩いていく。姿が見えなくなると、待ってましたと言わんばかりに川崎が話しかけてきた。
奈央「緊張するなぁ、赤司君!」
「どうして僕が緊張するんだ?」
奈央「何や赤司君、借り人競争のお題知らへんの?」
「お題?」
奈央「せや。毎年毎年、この競技のお題は恋愛絡みが多くて有名やねん。やれ好きな人や、やれ素敵な異性や、そんなんばっかりや」
「はそれを…」
奈央「知らへんよ。ウチが言ってへんもん。目立つからおススメやで言うたら喜んで手ぇ挙げよったわ」
「…僕が言うのも何だが、川崎も性格悪いな」
川崎はショックを受けるどころか笑い飛ばしてみせた。そんなん当たり前や、と言って。
奈央「大丈夫や。きっとは赤司君のトコに来る。ウチには分かるねん!」
「…フッ…何の根拠だ、それは」
奈央「乙女の勘や!あ、ほら、始まるで!」
川崎の声に校庭に目を向けると、の姿があった。赤色のハチマキを額に結び直している。そして今、開始の合図が鳴る。