第5章 *the fourth would
「相田さん、おはようー!」
「おはようございます」
明るく、にこりと微笑むと向こうも笑顔で返してくれる。
「さぁて、仕事しますか」
こっちの私は饒舌だ。
そうでなければ営業の仕事なんて務まらないし、その方がいろいろと都合がいい。
「お、相田、また契約成立させたんだって?流石だな」
同僚とも、ちゃんとやれてる。
「まあね、でも、中村だって大手任されたんでしょ?」
「…そうなんだよー!そこで、頼みが!」
振り返ると両手を合わせて目を瞑るその人。
「ん?何して欲しいの?」
「資料制作手伝って欲しいんだっ!」
「んー、コーヒーで手を打つよ」
「乗った!よかったぁ…相田が手伝ってくれれば安泰だよ」
仕事が増えたな…仕方ないか。
「まぁ、それは後でね。今は私もすることがあるから」
「わかった、じゃあ、また後で」
私もそろそろ営業行かなきゃな…
完璧に演じるために、仕事は頑張らなきゃ…
書類を片付けて、席を立つ。
その時は気づかなかった。
私を見る、その視線に。