• テキストサイズ

【イケメン戦国】紫陽花物語

第9章 てるてる坊主の恋<猿飛佐助>



「佐助くん…」


壊れ物を扱うかのような繊細さで、俺の頭を撫でてくれる。この手をずっとずっと…繋いでいられたらいいのに。

彼女が安土城の武将たちに愛されていることは、彼女がこの時代で生きていくにはとても都合がいい。理屈ではわかっているけど…俺の心が、叫んでいる。


「今すぐ、君を攫ってどこかへ逃げたい」


現代にいるままだったら、君に逢うことはきっとなかったね。だから…この時代に来れたこと、後悔はしていない。大事な縁もたくさんできた。

でも、大事な春日山の皆を頭の隅に追いやってしまう程、君を愛してしまっている。


「佐助、くん…私も…」


ああ。タイムリミットが来てしまった。断腸の思いっていうのは、きっとこういう感情なんだろうな。

廊下の足音にびくりと身を震わせた君の唇を掠め取る。…ごめん。これくらいは、許してほしい。次に会うときまで、また頑張れるように。


「また、すぐに来るから」

「うん…」


何か言いたそうな桜さんをその場に残して、時間を巻き戻すように天井裏に戻った。


・・・やっぱり、政宗さんだった。


桜さんが会話する声を後に、静かに俺は城を出ていく。約束しよう、すぐにまた行くよ。雨が降っても、会いに行く。君がてるてる坊主を作らなくても、寂しくないように。

そして遠くない未来に、君を攫いに行く。


/ 399ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp