• テキストサイズ

【イケメン戦国】紫陽花物語

第6章 降りしきる夜雨<織田信長>R15


ちゅ、と音を立てて離れた唇から唾液が糸を引く。
それを指先で拭う仕草が艶めかしい。

「貴様はどうなのだ」

問えば、小さく首を傾げてこちらを伺う。

「雨は好きか」

「前は…嫌いでした…でも」

しがみついて乱れた着物を、直してくれながら笑みを浮かべる。

「最近は、雨も好きです。信長様と見るなら、もっと」

「そうか、では」

高い高いをするように、桜の体を抱き上げて、首筋に掴まらせる。

「憂鬱な雨の日は、必ず貴様の元へ行こう」

「はい、私も…会いにきます」

雨が物音を吸いとっているかのような静かな暗闇の中、二人の声だけが響いて消える。
このまま腕を離れてしまったら、桜もこの雨に吸い込まれてしまうのではないか。

「信長様…?」

じっと、抱き締めたまま黙っているのを心配するような声。
誘われるように、再び口づける。

「桜…」


まだ、足りない。

何度抱きしめても。
何度口づけても。

いっそ溶け合ってしまいたいと思うほどに。


「今夜は雨だな…約束通り…傍にいろ」

「はい…」

雨の降る夜は、あなたと共に。


/ 399ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp