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第6章 あたたかい場所


『分かった?カルマ君。あの人朝にあの調子になると長いから、明日からもああなったら途中で出るからね』

「手厳しいなあ蝶ちゃん…まあ今日は蝶ちゃんの事特別心配だったんだと思うよ」

何でと言うようにカルマ君の方を振り返れば、面白そうに笑いながら、私の上着に手を掛けた。

『!…か、カルマ君?』

中也さんよりも身長が何センチも高いカルマ君に少し気圧されて、身体に力が入る。

すると上着を少しだけはだけさせて、左肩をつつ、と指でなぞられる。

『んんっ…!?なっ、んで…っ』

オフショルダーのシンプルなトップスを着ていたために、その指は私の素肌に触れ、直接私を刺激する。
肩をビクビクと震わせていれば、カルマ君がやっといつもの声色で口を開いてくれた。

「…ほら、今日蝶ちゃんこんな格好してるんだから。夏だから仕方ないけど、こんなに弱点さらけ出しててその上似合っちゃってんだから、俺でも心配にもなるよ」

びっくりさせちゃってごめんねと微笑みながら上着を直して、カルマ君は私を撫でる。

『心配って、私そんなに弱くないのに…』

「そういうんじゃなくってさ、さっき中也さんも手出さないようにって言ってたじゃん。蝶ちゃんただでさえ可愛いのにそんな格好でいたら、男は皆蝶ちゃんに釘付けになっちゃうだろうからね」

カルマ君が説明してくれてもよく分からなくて目をぱちくりさせていれば、カルマ君は顔を引き攣らせた。

「あー…分かんなかったか。まあ要するに、そこらの男からナンパされたり声かけられたり、ベタベタ触られていやらしい目でみられるだろうからって考えてるんだよ。蝶ちゃんの前だから言えなかったのかもだけど、他の誰かにそんな風に見られるのも嫌なんだって」

『……私に限ってそんな事』

「実際、露出なんてしてなくったって修学旅行の時一人だけ連れてかれてたでしょ?中也さんが心配症なのはよく分かったけど、蝶ちゃん可愛いし、それに相手が蝶ちゃんだからこそ心配にもなるんだよ」

なんだか納得いかないところもあるのだけれど、本当にそうなんだとしたら私としてはちょっと嬉しく思ったりもしてしまうわけで、コクリと頷く。

「まあ俺の目の前で蝶ちゃんに手なんて出そうものならそいつらから逆に金でも巻き上げてやるとこだけど」

『後半半分のせいで台無しになってるよカルマ君』

屋根から降りて教室へ移動した。
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