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第24章 繋がること


蝶が両組織間に籍を置くことによって生じるメリットは、いくつかある。

一つは、停戦協定がより確かなものであり続けることができるという事。
更には、両組織の仲介をするのにこんなに適した人間は類希である上、信頼もある。

そしてもう一つ…

「…手前ら、半分は蝶が探偵社に顔出さなくなったら寂しいからだろ」

「あっ、ばれた?」

「たりめえだ!!仲介も何も、こいつのこの性格なら籍なんか置いてなくても探偵社に不利益になるようなことはしねえってことくらい分かってんだろ!!」

「うん、じゃあ単刀直入に言おう。蝶ちゃん、君いつでも探偵社に遊びに来たりお手伝いに来たりしてくれていいからね♡」

『…ポートマフィアに戻っても、ですか…?』

ピタリと空気が鎮まった。

『…分かってますよね、太宰さんなら。それがどういうことか…私がどれだけ、殺せるかも』

「ああ…それならもちろん、十二分に理解しているさ。でもそれと同じくらいに分かっていることがある…蝶ちゃん、君は何の害も及ぼさない人間を無闇に殺したりはしない」

一緒にいる時間が長かっただけあって、癪だがやはりよく分かっている。

ポートマフィアの中には、命令外にも目撃者の息の根を止める者や、気まぐれに殺しを行う者も多い。
芥川や梶井などの、指名手配犯になるほどの有名どころがいい例だ。

しかし、逆に俺や紅葉の姐さん、広津さんなどになってくると、名前よりも異名の方が世に知られている。
仕事以外で下手に存在を知られるようなことをしても、特にメリットは感じないからだ。

俺に関しては一時帰国喧嘩のしすぎで危うかった時期があるものの、蝶からキツい一撃をお見舞され、それからは無茶なことはしていない。

それにいたずらに敵を作ったところで、蝶を巻き込む恐れが増すだけだ。

その点、能力さえ使ってしまえば口封じに命まで奪わずとも、記憶を操作するだけで済ませてしまう蝶には本当に何の心配もない。
元々あまり殺しという行為自体を好んでいるわけではない上に、恨みのない人間を巻き込みたくはない性格だ。

恐らく探偵社の奴らも、そこを評価してのこの結論なのだろう。

ふと、俺の方にチラチラと向けられている視線に気が付いた。

「……お前俺に遠慮してんならいっぺん殺すぞ?俺を」

『…っ…な、でそんな…優しいの……皆、して…』

雫がポタリと床に落ちた。
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