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第24章 繋がること


ぼうっとしたような表情…少し蕩けたような瞳を俺にチラチラと向けるこいつ。

夕食をとりながらもその視線は感じられた。
流石の俺にも感じられた。

なので、試しにこちらからもチラリとそっちをむくのだが。

『っっ!!!』

「…」

一瞬にして逸らされる顔。
面白いくらいに赤くなった耳だけが見える。

…なんだこいつ、なんだこの生き物。
飼いてぇ。

「蝶?…飯、いつもより減ってねえけど…食わせてやろうか?」

『へぁ!!?』

「お…?」

いつもなら、いいです!!やら自分で食べれる!!やらと反論が真っ先に返ってくるのに…なんだこの反応は。

まさかあれか?
反発してたんじゃなくて…

「……食べさせてほしい?…素直に言えたらなんでもしてやるよ」

『…っ、ぁ……食べ…さ、せて…くれる…の……?』

「お前がそうしてほしいんなら」

『……お願い…します』

小さな声で紡がれる言葉。
そうか、やはりそうなのか。

どうやら俺は、多大なる勘違いをしていたらしい。

彼女の甘えたい欲求は、俺が理解していると思っていたよりも更に上の次元をいく深さだったようだ。

照れ隠しなんかじゃなく、遠慮と羞恥の塊のような蝶は…いつになっても、本当に素直になるのが下手である。

箸で少女の口に合うように、少なめに一口料理をつまむと、それを少女はまた可愛らしく見つめていた。

そのまま箸を持ち上げ始めれば、まるで当然というように少女はその小さな口を遠慮がちに薄く開く。

「…可愛らしいけど、そんなんじゃ入らねえぞ?」

『ぅ、……ぁ…』

満たされる支配欲。
これはダメだ、ただでさえ今日は耐えてるってのに。

料理を口に運んでやると、恥ずかしいのか少し伏し目がちになってそれを噛む。
それから、蝶はそれを飲み込んで…

『…おいし…い』

____おいしぃ…

まるで俺に“した後”のような表情をこちらに向けて、そう言い放った。

脈打つ胸がうるさい。
今はやばい…これはやばい。

目が覚めてから一々蕩けてる瞳にやられる。

一々、記憶とリンクする。

まさか、案外俺も異能にかかってたりするのか…?
いや、けどこれは…蝶程のものじゃない。

なぜなら、蝶の表情はといえば完全にもう俺に恋心を顕にし始めていた頃のもので…完全に女の表情で。

「惚れ薬って…そういうことかァ…?おい…」
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