第22章 云いたかったこと
だいたい、最近執務室で一緒に入れる時なんかは仮眠が多いし…何も言ってくれないし。
私が休むのを提案してみても受けとめてもらえないし。
口を出していいわけでも、不平や不満を言っていいわけでもないとは思う。
けど私はずるいから。
中也さんと話せないと…今までみたいじゃなくなっちゃうと、寂しさが募って仕方がないから。
太宰さんと別れたあとで、中也さんのあとをつけて回る。
気付かれないよう能力も使って…
森さん、広津さんなんかと会って話しているのを見ながら、ふと思った。
もしかしたら、今までこの人は、こうやって生活していたんじゃないか。
私のせいで、話したい人とあまり話せなくなってしまったんじゃないか。
…ますます気になった、どうして私なんかに優しくするのか。
なんでこんな存在を大事にするのか。
私のいないところでの彼を見て、改めて。
「けど、そろそろ大丈夫なんじゃないの?寧ろ余裕があるくらいだろうもう?」
「いやいや、確実にしておきたいじゃないですか」
「ふむ…けど、蝶ちゃんなら君が詰め込んでるの、気付いてるかもよ?中也君のこと考えて聞かないようにしてるだけで」
「ええ…そんなに分かりやすいですかね……まあ、でもあと数日ですし」
「君が分かりやすいというよりは、どちらかというと彼女の頭が良すぎるから多分気付かれ……?おや?」
一瞬、森さんの視線がこっちに向いた。
隠れてるのに…なんでだろう。
「?どうし……??…蝶?」
『!!?な、っ…な、なんで分かっ…!?』
「なんでも何も、お前の綺麗な髪が見えてんだよ」
『きれっ、ッッ!!!?』
おろしてるからなのだろうか。
中也さんのこと考えすぎてて全然気付かなかった…
中也さんがこちらに歩いてきたら、すぐにしゃがんで私を下から覗き込む。
「どうした?…なんでも言ってみろよ、大丈夫だから」
『へ…っ、…?な、なんにもな「なんにもなしに俺の後ろついてくるのかよお前は?」…ダメ…?』
「!…いや?全然…寧ろ、俺に用がなくても来てくれんのが嬉しい」
『え…?』
「そりゃ嬉しいだろ、蝶が俺に会いたがってくれてたんなら」
思わず胸の奥がキュンとした。
嬉しい…?中也さんが?
「中也君、蝶ちゃんのこと大好きだからねえ……って蝶ちゃん真っ赤だよ!?大丈夫!!?」
『あ、あぅ…大丈夫…ッ』