第22章 云いたかったこと
『ハ…、ッ……は、…ン、…っ』
「…ごめん、今目開けてねえから…嫌なところ触ってたら嫌だって言ってくれて構わねえから」
『い、やじゃな……ッ!?…っ、〜〜〜ッ』
一瞬だけ、項や鎖骨付近、それから首筋を拭かれて、それに声を抑えるのに必死になった。
変なの…汗拭かれてるだけなのに、こんなの。
…やっぱり、変な身体…やっぱりおかしな身体。
「………流石に脚は自分で…っ、蝶…?」
『は、…ッ…ふ…っ、ん……ッ』
恥ずかしいのを押し込めるように瞼を閉じて、口も閉じて俯いて。
そうしてただけのはずなのに、変に優しく触れられると力の抜けてしまう私の身体は、それに逆らうことなく中也さんの方へと体重を預ける。
「!?……あ…あー…その……蝶、さん?…タイツ…とか、あるから、…自分で……拭ける?」
『ぁ…、っ、中也さ…ん……ッ』
「………いいか?俺は目ぇ閉じてる、何も見ない…いいな?…しんどいだろ、少し横になれ」
『…は、離れちゃやだ…!』
仮眠用のベッドに押し倒すようにゆっくりと寝かされて、そのまま…手を繋いで、頭を撫でられて____髪にまた、キスされて。
それに目を開けて気付いた。
ああ…本当に目、閉じてくれてるんだ…なんて律儀な人なんだろう。
ショートパンツもタイツも脱いで、そこからまた同じことの繰り返し。
くすぐったいような変な感じだったけれど、それでも嫌じゃなかった。
…おかしいな、男の人の前でこんな格好してるのに…こんな風に触れられてるのに。
全然怖くない…全然、嫌じゃない。
『ッ、ハ…ぁ…っ……ぅ…』
「…これで終わった…よな?…他、まだ気持ち悪いところ残ってるか?」
『も、も…い、ですッ………、だいじょ…ッひぁ…っ!!?』
「!!!?…わ、悪い…いや、俺の傷まで移してたって言ってたから…大丈夫かと思って」
突如、お腹に触れた手に思わずびっくりした。
すぐに離された手だけれど、それでも一つ、はっきりと分かったことがある。
この人、今まで出会ってきたような人とやっぱり違う。
私の身体が子供だからってだけかもしれないのだけれど…それでも、こんなふうに丁寧に扱われることなんて。
『……だい、じょぶ…です…』
「そ、うか…んじゃ、タイツはもう今日は履かずに……嫌そうな雰囲気がすげえよく伝わるわお前」
『…あんまり肌、出したくない』