第18章 縁の時間

「……なあ、今日本当に猫にでもなったのお前……ｯ…」

『…ひにゃｯ……ｯぁ…♡……ゆっ、びそんなのやぁ…ｯ♡』

「！……じゃあどんなのがいい？」

珍しく嫌だと口にして甘い声で嫌がった蝶。
普段のやつじゃない事くらいは分かった。

刺激に耐えかねてとか、そういうのじゃあない。

『ぁ…ぅ…』

項をいじっていた手を離して聞き返せば、蝶は顔を真っ赤にさせて俯いた。

そしてそれから、か細い声で今度こそお願いをする。

『……手…今日は、繋ぎたい……で、す…』

「…んじゃ、お願い叶えてやっから攻守交代な」

『え……ｯ！？待っ…ひゃぅｯ…』

指を絡められる刺激に弱いのか、甘い声を漏らした蝶……いや、この状況あってこそか。
蝶を組み敷いて上から覆いかぶさり、ご要望通りに手を繋ぐ。

握るんじゃない、繋ぐんだ。
所謂恋人繋ぎというやつ。

ﾌﾙﾌﾙと震える蝶の指をしっかりと握ってやると、またしてもﾋﾞｸﾘと蝶の指が反応した。
それと同時に肩の方まで…自分が繋ぎてえって言ったくせに。

「なぁにﾋﾞｸﾋﾞｸしてんだよ」

『ぇ……ｯ、あ…な、なんか久しぶりにされるとドキドキし…て…………っみ、ないでくださ……ｯん、！？…っ？』

額に一つ口付けてやると、一瞬ビクッと大きく震えてから咄嗟に目を瞑り、少し経ってから恐る恐る目を開ける少女。

見るなって、こんな可愛い表情されてて見ねえわけねえだろ、馬鹿かこいつは。

「…可愛い蝶を見ねえとか有り得ねえだろ……もっとこっち向いて顔見せてくれよ」

『ｯ！？…えっ、な、なんか変なスイッチ入ってませ｢ほら、そうやって誤魔化さねえで｣……ぁ…っ、や、やだ…恥ずかし…ぃｯ…！！』

今度は瞼に一つ、頬に一つ。

唇を薄く開いて震わせたり、ｷｭｯとつぐんだりさせている動作さえもが愛らしい。

ぶるぶる震え始める指が、蝶の恥ずかしさの限界をひしひしと伝えてくる。

「……手ぇ繋いでっから恥ずかしいの？それとも…抵抗出来なくて無理矢理されてるみてぇで興奮してきてるだけか？」

『！！…ちゅ、やさんはなんでこんな余裕で……ｯ！？…っんぁ…ｯあぁ、ぅ…！？♡』

ﾁｭ､と短いリップ音を立てながら、キスの雨を降らせてやる。
遂には足をくねらせ始めた蝶に、最後に指にもキスをすればまた大きくビクッと反応を見せた。

「俺の…どこに余裕があるって？」