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第12章 夏の思い出


『ん…ッぁあ、ッ、ひゃぅッ……!!!』

「撫でてるだけだから安心しろって」

『ぁ……あ、っ…』

カーテンの隙間から光が差し込んできた頃。
散々に触れられ続けた結果、特に感じてしまうといったようなことは何もされていなかったはずなのに、撫でられただけでも酷く感じてしまうようになっていた。

どうしよう、もう朝方なのに、身体の疼きがおさまらない。

「触れるだけでこれは流石に予想してなかった…こりゃ数時間だけでも寝た方が良さそうか?」

『は……っ、はぁ…ッぁ…』

「どうしたもんか…明るくなってきたからお前の顔が赤くなってんのもよく見える」

声に、言葉に身体が震える。
身体が熱いのになんだか逆に肌寒くなってきて、中也の腕の中でもぞもぞと身を縮こめた。

「あ…?………蝶、お前流石にちょっと様子がおかしすぎねえか?これでももう何十分も大人しくしてるってのにまだ息きれたまんまって…」

『ちゅ、やがずっとする、から…ぁっ……ひぁ、あッ』

「顔動かすな、体温が知りてぇだけだか…額が無理なら首触んぞ」

『!!!……ッぁ…ぅ……あ………』

大人しくするといい子だと撫でられて、それから額に手のひらを当てられた。

この感覚は何年ぶりのものだろうか、この人と出会ってからなるのは二度目か三度目か、もう少しあったか…

いつもより変に敏感になって、まさかそれが体のほうにまで影響してしまったのだろうか。

「………蝶、E組にこの疑いがあった奴は…いなかったな。なめてたわお前の体質…これでちっせえ頃になんの前触れもなく突然なったのにも納得がいったぜ」

『…?でも昨日より元気になって……ックシュ…っ??』

「お前、変に能力暴走させて過剰に風邪のウイルス摂取しやがっただろ…俺はそんなに付着させてきた覚えはねえぞ!?」

『風邪…?蝶今頭ぼーっとしてて分かんな「熱あるからだろうがそれは!!額か首に触れてりゃすぐに気付けたってのに…」ね、熱…っ?』

能力の暴走…それならありえる話。
私を傷付けるために作用する暴走だから、色々な種類がありはするが……それが起こるのは、決まって私の精神状態が酷く普段とかけ離れてしまう時。

それも中也に関することばかり。

強すぎる刺激でなら感じる事でいっぱいになって余裕が無いから…そちらに集中しているから大丈夫だったのか。

なんておかしな身体…
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